「創設一周年の思い」- Disaster Freeを目指して

会長 浅沼 博

一般社団法人減災サステナブル技術協会は、11月5日(世界津波の日)に創設1周年を迎えます。この一年間、熱いメンバーが着々と集い、活発な活動ができましたこと、この場をお借りし厚く御礼申し上げます。

未だ幼い協会ですが、高い理想(Disaster Free)を忘れることなく現実を直視したブレーンストーミングを行いつつ、既に企業が有する将来性高き製品群への絶妙な味付け等、メンバーネットワークを駆使しながら活動して参りました。特に、様々な優れた技術分野に、メンバーの強みである材料や加工技術を横糸として通すことで、異文化を教え、学ぶ、新鮮で刺激的な風土が培われ、協会の強みになりつつあります。僅か1年でここまで来れたという気持ちと、まだまだ整備が足りないという焦りとが混在しておりますが、当協会の重要性、当協会への期待が、益々高まっていることは間違いありません。今後は更なる地位の向上に向け、各方面と協働しながら努力して参ります。

メンバーの多くは、東日本大震災で大変惨めな思いをし、そのリベンジを生き甲斐に頑張って来たわけですが、その後も各地で、地震、台風、大雨、火災等々による大きな被害が相次ぎ、連敗続きの感を否めません。短期から長期にわたり想定される大災害に対し、スピード感を以て成果を挙げることが必須です。

今、急ぎたいのは、人が自然災害等で死なないで済む、苦しまないで済む社会って、こんな社会です、こんな居住スペースが必要です、と提案し、一日も早く、経済性も含め、できるだけグローバルに実現することです。確実性がまだまだ不十分と言わざるを得ない多くの情報に長時間怯えなければならない社会から、人々を解放したいという思いです。

例えば、協会の強みの一つである材料技術的には、強くする、軽くする(状況により重さが変わるスマートマテリアル等も)、燃えなくする、人に優しくする(住宅等が凶器にならない、瓦礫等が発生しない)、等々がポイントで、ものづくりの力を生かして各種シェルターを創製し、人々を様々なスケール(ウェアラブルからメガフロート・サイズまで)で物理的に守ることにより、避難が劇的に変わる、さらには、避難の必要が無くなる、と言うシナリオです。病院や保育・教育施設の加速的シェルター化推進、等々も極めて重要ですし、また、地球環境にも配慮し、地球上に人類が生息する方が地球が長持ちするよ、とういシナリオも描きたいですね。どのように実現しましょうか。考えるほど、面白く、楽しく、感動的ではありませんか。このような雰囲気で、防災、減災の人の輪を広げ、層を厚くし、それで食べていけるまでの事業化、産業化、それによる日本のブランディング戦略、等々を目指しましょう。また、自分が高齢になって思うのは、何かと若い人に期待し過ぎであるということ、また、優秀な高齢者の流出や思考停止の予防に通じる格好のテーマが必要だということで、減災・サステナブル学、減災サステナブル技術が、それになるのではと期待しております。

今後、当協会は引続き、減災サステナブル技術の共同研究開発、参加会員同士の勉強・交流会の運営、シンポジウムの開催、展示会への出展、等々を通して、皆様方の御指導、御協力の下、以下、実施、実現して参ります。

・材料、加工技術等、ものづくりを強く意識した異分野融合を高いレベルで実現し、防・減災を日本発の世界的技術領域化、新基幹産業化へ。

・災害時のみならず日常利用すること等で、経済性・持続性を同時実現できる革新的防・減災技術の確立と、それを創出可能な独創的人材の育成。

・会員ネットワークによる革新的製品開発・減災サステナブル仕様化と、協会としてのその評価、認証等。

・その他、会員の要望等を迅速に反映した活動、様々な対象への情報・通信、人工知能等、革新的技術・スマートテクノロジーの注入、など。

・災害や防災を、各論ばかりでなく、総括的に俯瞰できる学問を確立する(防災材料システム学、他)。

また更に、公的資金の導入、研究開発拠点の設置、海外チャプター・オフィスの設置等により、事業の強力な推進、展開、深化を加速して参ります。

最後に、阿久津幸彦衆議院議員の以下のお言葉をお借りします。「(前略)気候変動の影響等もあり、考えられない規模の災害が頻発する昨今、それを逆手に取り、人類を救う「防災・減災サステナブル技術」こそ、我が国をあげて重点投資を行い基幹産業に育てあげるべき分野であると私は確信しています。」

 100年後、1000年後に歴史遺産と思える画期的製品を今、減災サステナブル技術協会から世界に送り出しましょう!