高知県黒潮町役場で打ち合わせ

「南海トラフに向けて」

大阪を激しい揺れが襲った日…私達は高知県黒潮町役場で打ち合わせをしていた。
津波最大34mの津波が襲う町…
あの日届けられなかった願いを届ける為に!

会談の後、千葉大の教授と一緒に近くの避難タワーを見に行ったのだが…余りの巨大さに一同絶句していた。
高さ20mは超えるだろうか!?

同時に大きな疑問も生まれた…
果たしてこの上まで登れる人は何人いるのだろうか??
震災を経験した私達は、震度6強という揺れがいかなるものかを知っている!

タワーはいい!しかし震度6強の後、人間は10分程度思考停止状態に陥る。
東北はそれでも45分程度の時間があった…
だがここは…最短5~10分程度…
果たしてたどり着けるのだろうか?

「私達東北の失敗を繰り返さないで欲しい!」
そう訴えたのだが…
果たしてどこまで伝わったのだろうか?

震災を経験しない者が提案した津波対策
震災を経験した者が提案する津波対策は違うと思うのだが…
いつも感じるこの温度差は何なのだろう?

子供や老人は冬の夜にここで朝まで体温を維持出来るのだろうか?
下に瓦礫が溜まってそこに着火したら?近隣は木造住宅とプロパンガスだらけ!!

あの日私達は敗北した!多くの命が失われるのをただ眺める事しか出来なかった…

瓦礫の中を遺体捜索する自衛隊を…
体育館を埋め尽くすご遺体を…
すすり泣く遺族を…

南海トラフは近い!
もはや前兆は始まっている。
誰だって気づいているはずだ!

残念ながら…
そう思っているのは…
どうやら震災を経験した者だけらしい。